インターネットは現代の生活に欠かせない一部となっていますが、その自由度は国によって大きく異なります。一部の国では政府によるコンテンツの検閲や、ウェブサイトやSNSの利用、VPN接続の規制が行われています。VPNは、暗号化された仮想的な専用線を構築するサービスで、プライバシーの保護や安全性の向上がそのメリットです。一方で、一部の国ではVPNの利用が規制されており、これは政府による検閲から逃れる手段となり得るためです。インターネットの自由は、国民の表現の自由を尊重する上で不可欠です。今回は、国際NGO団体「Freedom House」の調査(2023年)の調査を基に、世界各国のインターネットの自由度とVPN規制(NordVPN調査)に関する情報をまとめました。 世界各国のインターネット自由度 世界各国のインターネット自由度は、その国のインターネット利用者が、インターネットを自由に利用できる程度を示す指標です。インターネット自由度は、Freedom on the Net指数に基づいて評価されます。また、NordVPNの調査に基づき、各国の最新のVPN規制についても示しています。 Freedom on the Net指数の見方 Freedom on the Net指数は、以下の「質問のチェックリスト」をもとに各国のインターネットの自由のレベルを測定したものです。質問のチェックリストは、「アクセスの障害」「コンテンツの制限」「ユーザー権利の侵害」の3つのカテゴリに分類されます。 質問のチェックリストには、全部で21の質問と100近くのサブ質問があり、自由な状況にあるほど高いポイントが割り当てられる仕組みです。3つの質問の合計ポイントがトータルスコア(0〜100点)となり、スコアに応じてインターネットの自由度がわかります。 スコア100〜71:自由度が高い スコア70〜40:自由度は普通 スコア39〜0:自由度が低い インターネットの自由度ランキング:ベスト5 ここでは、インターネットの自由度が高い上位5か国とその理由について解説していきます。また、NordVPNの調査に基づき、各国の最新のVPN規制についても示しています。 ベスト1位:アイスランド アイスランドは、100点満点中95点を獲得した、2022年時点で世界で最もインターネットの自由度が高い国です。 オンラインコンテンツに対する制限は最小限であり、ユーザー権利についても強力な保護を受けています。著作権で保護された一部のコンテンツを除き、国民は政治、社会、宗教などを含むWebサイトやSNSを自由に閲覧できます。 インターネットの自由度の高さゆえ、2021年のインターネット利用率は99.5%と100%に迫る勢いです。 ベスト2位:エストニア 世界で2番目にインターネットの自由度が高かった国は、エストニアでした。民主主義制度が強固なエストニアでは、国民の政治的権利が広く尊重されており、ユーザー権利の保護が強力です。 政府はオンラインコンテンツの閲覧に制限をほとんど設けていません。制限があるのはオンラインの違法ギャンブルサイトが主で、ユーザーは政治、社会、宗教に関するコンテンツの大部分を自由に利用できます。 ベスト3位:コスタリカ コスタリカのFreedom on the Net指数は88点で、世界ランキングは3位でした。社会経済・地理的格差は依然として存在するものの、インターネットの自由なアクセス、および自由な表現の権利はしっかり保護されています。 政府がオンラインコンテンツを検閲・フィルタリングしているという報告はありません。また、有害なコンテンツについては、児童および青少年の保護に関する法律などの明確な基準により、制限がかけられています。 ベスト4位:カナダ インターネットの自由度が高い国ランキング第4位は、カナダです。Freedom on the Net指数は87点で、インターネットの自由、表現の自由、報道の自由が手厚く保護されています。 カナダでは、政府がオンライン上のコンテンツを検閲したりブロックしたりすることはありません。また、ヘイトスピーチやテロリストなど、有害なオンラインコンテンツはだれでもわかる透明性の高い基準で、公平に制限されています。 ベスト5位:台湾 台湾は、Freedom on the Net指数が79点と高く、イギリスと並んで世界で5番目にインターネットの自由度が高い国です。アジア圏で最も自由なオンライン環境が整っている国で、国民は多様なコンテンツにアクセスできるのはもちろん、法律によって表現の自由が保護されています。 ただし、台湾のメディアや政策決定などに影響を与えようとする中国政府の取り組みは、今後の懸念として挙げられます。 インターネットの自由度ランキング:ワースト5 続いては、インターネットの自由度が最も低かった5か国を紹介します。NordVPNの調査に基づき、各国のVPN規制の有無についても示しています。 ワースト1位:中国 Freedom Houseの調査によると、世界で最もインターネットの自由度が低い国は中国でした。トータルスコアは100点満点中10点で、インターネットユーザーに対して非常に抑圧的な国として知られています。 中国には、世界で最も洗練されたインターネット検閲装置「グレート・ファイアウォール」があり、ユーザーは高度に管理、監視、操作されたインターネットにしかアクセスすることができません。 実際に、中国国内では31万個以上のドメインがブロックされました(2020年4月〜12月)。ブロックの対象には、ビジネス関連のWebサイトやSNSのほか、ニューヨーク・タイムズやロイター、BBCなどの国際報道機関のサイトも含まれます。 なお、中国ではVPNの利用が違法かどうかについて意見が分かれています。一部では違法とされる一方、実際に摘発されたケースはほとんどありません。ただし、多くのVPNサービスはブロックされ、利用できない状況が続いています。 ワースト2位:ミャンマー…
Read more