eSIM(イーシム)は、携帯電話やタブレットに内蔵された本体一体型のSIMで、SIMの新しい規格です。従来の物理的なSIMカードとは異なり、eSIMは遠隔でキャリアを変更したり、複数のプランを切り替えたりすることが可能で、より柔軟で便利な通信環境を提供します。本記事では、eSIMとは何か、そのメリットやデメリット、そして従来のSIMカードとの違いや、eSIMの使い方をiPhone・Android端末別に詳しく解説します eSIMとは? eSIMとは、スマホやタブレットなどの端末に内蔵されたチップ上に存在するデジタルSIMです。従来の物理的なSIMカードとは異なり、端末に内蔵されたチップがSIMカードの役割を果たします。eSIMを利用する場合、物理的なカードの挿入や取り外しが不要になり、アプリを通じてインターネットに接続するための設定を行えます。 つい最近までは物理的なSIMカードが主流でしたが、近年より利便性が高いeSIMが開発されたことによって、多くのスマホメーカーがeSIM対応機種をどんどんリリースしており、なかにはアメリカ国内向けのiPhone14のようにSIMカードの差込口が廃止されてeSIMのみ対応になった機種もあるほどです。(日本国内向けのiPhone14、iPhone15には、SIMカード差込口は搭載されています) 日本国内では、2021年3月にワイモバイルに続いて、2021年7月にはソフトバンクがeSIMのサービス提供が開始され、2021年8月には総務省が「eSIMサービスの促進に関するガイドライン」を策定するなど、積極的にeSIMの普及を推進している結果、どんどんeSIMが利用可能な国内キャリアが増えてきています。 eSIMのメリット こちらではeSIMを使用することで得られる主なメリットを紹介します。 オンラインで最短即日で開通できる SIMカードの場合は、物理的なカードが必要なため、スマホ販売店や各携帯キャリアショップに出向く必要があったり、インターネットで申込をした際は配送から受け取りまで数日~1週間もの時間がかかるのが難点です。 対するeSIMの場合は、各プロバイダーのウェブサイトやアプリで契約者情報を入力するだけで、オンライン上で回線開通に関する全ての手続きが完結できるため、物理SIMのように郵送の手続きや店舗へ出向く手間を省くことができます。 通信キャリアによって異なりますが、音声通話やデータ通信の利用は、ほとんどのキャリアで即日可能です。キャリアによっては、音声通話、データ通信ともに最短数十分〜1時間程度で利用開始できる会社もあります。 台のスマホで複数の回線が使える 最近は1つの端末で2つの通信事業会社のSIMを切り替えて使用できる「デュアルSIM」対応機種が増えています。このデュアルSIMによって、1台のスマホでeSIMとSIMカードと組み合わせて使用することも可能になりました。デュアルSIM対応端末の場合、1台の端末で2つのインターネット回線と電話番号を使いわけて利用することができます。 デュアルSIM対応端末は、仕事用とプライベート用に電話番号と通信回線を使い分けるなど、eSIMとSIMカードを組み合わせることで幅広い使い方ができます。 カードの破損や紛失の心配がない eSIMの場合は各端末に内蔵されているため、物理的なSIMカードのように差し替えする手間がなく、スロットやSIMカードの破損、紛失のリスクがないのも大きなメリットといえます。 物理的なSIMカードの場合、利用する端末・通信キャリアを替える時にカードの入れ替えが必要になりますが、実はここが難点です。差し替える際にカードが破損してスロットの端子部分が反応しづらくなったり、SIMカード自体が小さいので紛失してしまうことも少なくありません。 一方、eSIMの場合は端末に内蔵されているので、破損や紛失のリスクがなく、再発行時の余計な手数料やストレスを感じる心配もないため、安心して利用できます 海外出張や旅行にも便利 通常、海外でインターネットを利用する際は、現地で使用できるプリペイド式のSIMカードを購入するか、日本で契約している通信会社のデータローミングを利用するのが一般的です。SIMカードは各国の空港や市内の露店で購入できますが、契約するのに時間がかかったり、購入可能な通信会社が限られていたりするのが難点です。 しかし、eSIMの場合は、このような海外旅行の際の煩わしさとは無縁です。ネットで契約を行い、契約者情報のプロファイルを書き換えるだけで、日本で使用していたスマホですぐにインターネットが使用可能できるようになります。 また、機種にもよりますがiPhoneの場合は合計8個以上のeSIMを保存しておくことが可能なので、複数の国を訪れる際は、端末に各国のeSIMを保存しておくことで、ワンタップで切り替えるだけで即座にインターネットが使えます。 そして、最近では日本の通信キャリアで、日本で契約しているプランのデータ量を海外でも使えるプランを提供しているものもあり、その多くでeSIMが使用できます。 データプランの料金を節約できる 上記でも紹介した1台のスマホで2つの異なるSIMが対応できるデュアルSIM対応機種を使用することで、2つの通信契約を上手に組み合わせて月額料金を安く抑えることができます。 たとえば、1つ目の契約では通話料が安いキャリアと契約し、2つ目の契約はデータ通信が安かったりデータ使い放題のプランを提供していたりするキャリアを選ぶことで、1つのキャリアと通信契約するよりもトータルでの月額料金を抑えることができます。 さらに、2つの通信契約を駆使することで、片方の回線に通信障害が発生した場合でも、もう片方の回線に切り替えてインターネットを使用することができます。 {SHORTCODES.blogRelatedArticles} eSIMのデメリット こちらではeSIMのデメリットについて紹介します。 初期設定に知識が必要な場合がある eSIMを設定する際は、基本的にユーザー自身で行うことになるため、eSIMサービスを提供している各キャリアのウェブサイトを見たり、わからない場合はチャットでオンラインサポートに問い合わせしなければならないため、ある程度のeSIMに関する知識が必要です。 また、eSIMが初期状態の場合は、まず端末と利用者の情報を自分で書き込む必要があり、eSIMプロファイルをダウンロードするためにWi-Fi環境が必要となります。キャリアによっては、eSIMを書き込むために、利用している端末以外にQRコード読み取り専用のデバイスが必要になることもあります。 多くのeSIMがデータ通信のみ提供 キャリアによっては、eSIMはデータ通信専用で、固有の電話番号が提供されないことが多いです。なかでも格安SIMを取り扱っている事業者の多くがこれに該当します。 データ通信専用のeSIMの場合、電話回線を使っての音声通話やSMSの送受信はできませんが、LINEやZoomといったVoIP(Voice over Internet Protocol)という技術を利用した音声通話やビデオ電話は可能です。 すべての端末がeSIMに対応しているわけではない eSIMは大変便利ですが、すべての端末で利用できるわけではなく、eSIM対応端末を選ぶ必要があります。どのメーカーでも最新機種の場合はeSIMに対応していますが、古い機種は対応していない場合もあります。 たとえば、iPhoneの場合「iPhone XR」以降のすべての機種はeSIMに対応していますが、それ以前の機種は未対応の場合があります。また、Android端末の場合は、メーカーやシリーズ毎に仕様が大きく異なるため、eSIMを利用する際は各端末で使用可能な通信キャリアを事前に調べる必要があります。 加えて現在、日本国内の多くの通信キャリアがeSIMに対応していますが、通信会社や料金プランによっては対応していない場合もあるので契約する際は入念にチェックしましょう。お使いの端末と契約を検討しているキャリアが、どちらもeSIMに対応しているかどうかを確認することをお忘れなく。 eSIMの仕組み こちらではeSIMの仕組みについて解説します。 eSIMは、端末に組み込まれたチップに、通信キャリアの情報(プロファイル)が保存される仕組みです。プロファイルには、ネットワークに接続するために必要な情報が含まれています。 通信キャリアのアプリやQRコードなどを使ってeSIMプロファイルをダウンロードすることで、端末は自動的に通信キャリアのネットワークに接続します。 eSIMは安全なのか? eSIMは、安全性において多くの利点がありますが、いくつかの注意点もあります。以下にeSIMの安全性についての詳細をまとめました。 物理的な盗難リスクが低い:物理的なSIMカードは取り外すことができますが、eSIMは端末に組み込まれているため、盗難や紛失リスクが低減されます。また、端末が盗難にあった際に物理的なSIMカードの場合は抜き取られて悪用される恐れがありますが、eSIMの場合は画面ロックをかけておけば悪用される心配はなくなります。 リモートで管理:eSIMは遠隔でプロファイルの追加や削除が可能です。携帯端末が紛失や盗難に遭った場合でも、リモートでプロファイルを無効化することが可能です。 プロファイルを暗号化:eSIMプロファイルは暗号化されており、ダウンロードや保存時にセキュリティが確保されています。これにより、通信キャリアの情報やユーザーの個人情報が保護されます。 安全な認証プロセスを採用:eSIMのプロファイルをダウンロードする際には、通信キャリアが提供するアプリやQRコードを使用するため、不正なプロファイルのインストールを防ぐことができます。 以下では、eSIMの安全性における注意点を挙げます。…
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